Aloha
先週は1週間ほど、修行と仕事を兼ねて台湾へ渡航しておりました。
この時期の台湾は、連日34℃程度の暑さなのですが・・・実は日本の暑さよりもマシなのですよ・・・。
帰国したら・・・東京もすっかり梅雨が明けていました・・・地獄です・・・。
渡台中に、訃報が届きました・・・。
10年ほど前に何度か鑑定をお受けした事があるクライアントのお母様からだったのですが・・・あいにく国外にいた事もあり、お葬儀に間に合わず、申し訳ないことをしました・・・。
実はその方が亡くなる数ヶ月前にメールを頂いていて、『10年前の私の鑑定の意味がやっと理解出来た、もっと早く気付くべきだった、あの時は随分と失礼な態度をとってしまって、申し訳なかった。いつか僕の事をBeBeさんらしい愛のある毒を含んだ言葉で、ブログで取り上げてください。僕のような後悔をする人が1人でも減りますように・・・。』といった内容が書かれていました。
『次回博多に戻った際には、お目にかかりましょう。』
そうお返事をしたばかりだったのに・・・・。
私は、高校、短大と浄土真宗系の学校を出ている事もあり、同級生には尼僧もいますし、仏の教えというものに抵抗がありません。
私の父も駒澤大学の出身ですから、ご学友にはお坊様がいらっしゃるので、子供時代から神仏に対しての常識レベルの宗教概念は持っています。
母方は種子島出身で、神道系ですが、母方の曾祖母、祖母までは洗礼を受けていたと聞いています。
そういう意味では、私には『こうでなければならない!』という、偏った宗教観はありません。
神様というものは、高い所で繋がっているので、どんな神様も尊い存在だと認識しています。
仏教の教えには輪廻というものがあります。
輪廻とは、仏教における基本的な概念の一つで、生きるものが何度も生まれ変わりを繰り返すという思想を指します。
生命は死後も消滅するのではなく、過去の行為(カルマ)に応じて、様々な世界(六道:天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)に生まれ変わると考えられています。
宗派によって解釈や重点が異なることもありますが、基本的に輪廻は仏教の教えの根幹をなす思想です。
ちなみに神道における「帰幽(きゆう)」とは、人が亡くなることを意味する言葉で、仏教の「死去」や「永眠」にあたる神道独自の表現です。
神道の死生観では、人は現世(うつしよ)で神々や祖先の恵みを受けて生活し、死後はその魂(御霊:みたま)が「幽世(かくりよ)」と呼ばれる神の世界へ帰っていくと考えられています。
そして、最終的には祖先の御許(みもと)に帰りつき、家の守り神、あるいは氏神として子孫を見守る存在になるとされています。
「帰幽」という言葉には、亡くなった魂が、元の場所である幽世、ひいては祖先の元へ帰るという意味が込められています。
神道では、現世(生者の世界)と幽世(死者の世界)は完全に断絶したものではなく、互いに関連し合っていると考えられます。
祖霊は子孫の繁栄を見守り、子孫は祖霊を祀ることでその恩恵を受けるという関係性があることから、神道の「帰幽」は、単に死を指すだけでなく、人が神の世界へ帰り、祖先の仲間入りをして子孫を見守る存在(守護神)となるという、神道独自の死生観を表している言葉です。
話が少し逸れましたが・・・最後にその方と交わしたメールの内容は、お葬儀の重要性についてでした。
彼が最後に後悔していた事・・・。
それは実父のお葬儀を、故意にスルーした事でした・・・。
彼(Wさん)は、幼少時代にかなり厳しく躾けられたそうです。
彼が10歳になるかならないかの時に、両親が離婚。
母親の実家はそこそこ裕福だったのですが、父親が親権を譲らず、父親の実家で育てられることになりました・・・。
そこからの5年間は父親との関係がうまくいかず、Wさん曰く”地獄”だったそうです・・・15歳で彼は家を出て、母親の実家を訪ねていくとそこには3歳くらいの可愛い女の子がいたそうです。
母親は、再婚して新しい家庭を作ってしまっていて・・・もう彼の居場所はありませんでした。
住み込みで昼夜問わず必死に働き、なんとか自分1人生きていけるようになった頃、最初の結婚をしました。
1度目の結婚はまだ若かった事もあり、1年足らずで終了・・・。
その後2度目の結婚をして、女の子に恵まれたものの、婚姻中に新たな恋が芽生え(つまり不倫ね・・・。)奥さん激怒で離婚。
この頃、近所のスナックで偶然知り合った女性の母親が、実母の知人だった事をきっかけに、切れていた実母との縁が復活し、義理の妹を本当の妹のように可愛がっていたそうです。
時を同じくして実母もまた、2度目の結婚が上手くいかず離婚。
そして、Wさん3度目の結婚は子連れ結婚・・・・この3度目の結婚が、悪い意味で彼の人生を変えました。
スナックで知り合った5〜6歳年上の女性と、3度目の結婚をした彼は、流石に3度目ですから・・・過去の経験から、結婚生活においての我慢というルールも学び、奥様ファーストの徹底を心がけていました。
嫁と姑(実母)との関係も良好で、結婚して1年くらいは何事もなく、とてもうまく行っていたそうです。
そうこうするうちに、Wさんの実母と実父が再び結婚することになったそうです・・・。
一度離婚したのに・・・また結婚かよ・・・と、怒りが収まらないWさん。
父親とは15で別れて以来、一度も連絡を取らずにいたそうです。
しかし、自分ももういい歳した大人だし・・・ここでゴネても大人気ないと思い直し、母親には『再婚は構わないけど、俺は親父とは絶対会わないし関わらないから・・・。』そういう約束で結婚を受け入れたそうです。
ある時、嫁と実母(姑)が些細なことで、口論になってしまいました。
元々奥さんは気の強い女性だったのと、実母も同じく絶対に引かない性格だった事が災いして・・・小さな火種が結構な大火事になってしまったそうです。
奥さんが姑に対してどうしても怒りが収まらない、『土下座させろ!!』と怒鳴り散らす中、姑(実母)も喧嘩上等スタイルで応戦・・・。
拗れに拗れてしまいました・・・。
Wさんは嫁と実母の板挟みとなってしまったわけですが、奥さんと義理の娘の手前『いい格好』をしなければならず、実母に対して悪態をつき、『お前(実母)ともアイツ(親父)とも金輪際縁を切る、お前らみたいなク○親から産まれた事が恥ずかしい、2度と俺たちに関わるな!!』というような類の暴言を、吐き散らかしたそうです。
嫁は、夫が自分の言いなりになったことでご満悦・・・・。
実母は・・・というと・・・柄にもなく、しょんぼりしていたそうです。
男尊女卑がデフォルトの九州出身の私からすると・・・姑に対して暴言を吐くとか・・・まずあり得ない・・・。
というか・・・そもそも姑に対して、腹が立ってもそんな口はきかない・・・。
相手方の名字を名乗るからには、少々難儀があっても、基本的に姑には逆らわない・・・それが大人の女性(嫁)ってものでしょう?って思うんだけど。(やっぱり九州なのだと思う・・・この思考。)
この大喧嘩が・・・その後のWさんの人生を変えることになってしまいました。
この日を境に、両親と完全に縁を切ってしまったWさん。
誰かを吊し上げることで、結束する関係というのがあるのだが、彼らがまさにそれで、両親と縁を切ったこと(特に実母を吊し上げたこと)で、とりあえず穏やかな暮らしをしていました。
でもね、穏やかな暮らしというのは・・・そう長くは続かない・・・。
ある時、仕事を終えてくつろいでいると、自宅の電話が鳴ったそうです・・・。
着信を見ると、母親からでした・・・。
あの一件以来、スマホは着拒していたものの、家電の方の着拒を忘れていたので、電話をスルーしたそうです。
すると今度は、電話帳に記録されていない電話番号からの着信が入ったそうです。
仕事柄、スマホの着信はスルー出来ず、電話に出ると・・・母親からでした。
『お父さんが現場の事故で大怪我をしたから、急いで病院に来て欲しい・・・かなり危険な状態で、これが最期になるかもしれないから、会いにきて欲しい。』
そのやりとりを後ろで聞いていた嫁が・・・こう呟きました・・・。
『〇〇くん?お義母さんとは2度と話さないって言ったよね?親とは縁を切るって言ったよね?お義母さんの言いなりになったら離婚だからね。』
Wさんは・・・その日病院には行かず・・・私に連絡をしてきました。
相談内容は、『父親の葬儀に出た方がいいですかね?』でした。
私は迷わず、『葬儀に行くように』伝えました。
理由は、結婚式は2度できるけど、葬儀は人生で1度しか出来ないから。
旅立ちの日は人生で一度きりです・・・どんな事情があろうと、人の世でのやり取りを、あの世まで持ち越す必要はありません。
最期に物言わぬ相手に悪態をついても構わないから・・・会いに行くように・・・。
そう伝えると、彼は『わかりました・・・。』と言って、電話を切りました。
てっきり私は、Wさんはお父様に会いに行ったものだと思っていたのですが・・・後日頂いたメールには、『結局葬儀には行かなかった。』と書かれていました。
あれから10年ほど経ち、再びWさんからメールが届きました。
『10年前の鑑定の意味がやっと理解出来た、もっと早く気付くべきだった、あの時は随分と失礼な態度をとってしまって、申し訳なかった。いつか僕の事をBeBeさんらしい愛のある毒を含んだ言葉で、ブログで取り上げてください。僕のような後悔をする人が1人でも減りますように・・・。』
結局、電話がかかって来てから数時間後に、父親は静かに息を引き取ったそうです。
結局、嫁の機嫌を損ねるのが面倒で、父親の葬儀に顔を出さなかったWさん・・・。
それから何年かの月日が流れたある日、ふと思い立って人間ドックを受けたそうです。
生まれてこの方、まともな健康診断なんてした事なかったので、色々とオプションもつけました。
数週間後郵送で届いた検査結果の中に、『ピロリ菌』陽性という文字が目につきました。
それと同時に、オプションでつけていたある腫瘍マーカーの高値も指摘されており、検査結果には、『要再検査』とスタンプが押されていたそうです。
病院嫌いのWさん・・・結局再検査にはいかず、ピロリ菌と共存する事にしました。
そこからまた数年の月日が流れた夏のある日、これまでにない体調不良に見舞われ、深夜病院へ駆け込みました・・・。
一般的な血液検査の結果は特に異常なし・・・・。
ただ、CTの画像にちょっと気になるところがあるから、後日改めて再検査をしましょう・・・。
と医師に言われ、病院の紹介状を書いてもらいました。
病院嫌いのWさん・・・この再検査もスルー。
数ヶ月後、異常に痩せたWさんを心配した知人の紹介で受けた検査で、癌が発見されました。
発見当初、既に遠隔転移をしていたこともあり、直ぐに治療が始まりました。
最初のうちは、寄り添う姿勢を見せていた嫁でしたが・・・数回目の抗がん剤が終わった頃、合併症を起こしてしまい、2週間ほど入院することになりました。自営業だったWさんは、特にがん保険のようなものにも入っておらず、嫁が専業主婦で1馬力だったこともあり、蓄えが乏しくなってきた頃、嫁が口座のお金を全部持って、離婚届を残して家を出ました。
治療をするにも現金に詰んだWさんは・・・切羽詰まって母親に連絡をしました。
もう何年も疎遠になっていた母親に連絡をすると、母親は何も言わずに300万円を持ってきてくれたそうです。
その時に、3度目の嫁と、離婚した事を伝えると・・・母親が静かに『治療費のことは心配せんでよか。お父さんがあんたの為にちゃんとお金ば残してくれとうけん、どんな治療も諦めんで受けて良か。』とそう言って、父親の遺産相続人であることを告げられたそうです。
実は、Wさんのお父様が亡くなる直前に、ほんの少し意識が戻ったその時に、『あの嫁と別れたら、息子に俺の金を全部渡して欲しい。』と頼まれていたそうです。
Wさんのお父様が残してくれた遺産は数千万・・・。
相性の悪かった父親が、自分の為にこんな大金を残してくれているとは・・・夢にも思っていなかったWさん・・・。
この時、Wさんはなぜあの時、父親に会いにいかなかったのか・・・・。
せめて葬儀だけでも出席しなかったのか・・・嫁へのメンツなんか気にせずに、会いに行けばよかった・・・心の底から悔いたそうです。
Wさんとの最後のやり取りで、私が彼と交わした言葉は、お父様とは”お迎えの時”に必ず会えるから、今はその日を出来るだけ先延ばしにしましょうよ。その時まで標準治療で徹底的に癌を叩きましょう。
次に博多に戻った時は、お目にかかりましょうね。
それが彼との最後のやり取りになってしまいました・・・。
彼は父親の葬儀に出なかった事を・・・心から悔やんでいました。
もし、このブログを見ている方の中に、似たような問題を抱えている方がいるなら・・・。
お葬儀には何としてでも出席してください。
どうしても事情があって行けないのなら仕方がありませんが、無理をすればいけるのであれば・・・お葬儀には出席してください。
たとえ物言わぬ相手でも、心は繋がりますから・・・・。
あの世から、亡くなった方達がこの世に戻っていらっしゃいます。
魂にも優しく出来る人でありたいものです。
Mahalo